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そこはかとなくマリア様がみてる。 marimite.exblog.jp

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まりみてSS現在36本。紅薔薇属性……っていうか、祐笙推奨ブログ(笑


by rille
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あなたにメールを。





「どうしたの?」
「うん、あのね、お願いがあるんだけど……」
「珍しいわね。なに?」
「えっとね……コンピューターって詳しい?」
「うーん、詳しいかどうかって言われると自信ないけど、最近は画像をデータで加工することもあるから、一通りはできると思うわよ」
「ほんとっ?!じゃあ、私にメールを教えて欲しいんだけど」
「メール、ねぇ。いいけど、誰に送りたいの?その前にコンピューターって持ってた?」
「えっと。うん、持ってない」
「……ふむ。いいわ、このPC使っても。フリーメール作ろうか」
「ふりーめーる?」
「無料で作れるメールアカウントのことよ。ま、百聞は一見にしかず。とりあえずやってみましょ。ほら、そこに座って」
「うん!ありがとう」














subject;お久しぶりです。
To;qween@chinensis.rosa.jp
From;hysteric_handkerchief@chinensis.rosa.jp

お久しぶりです、お姉さま。
可愛い妹の悩みを、お姉さまならば必ずや解決に導いてくださるだろうと思い、ご多忙とは存じながらもこうして筆をとりました。

さて、早速ですが、悩みというのは言うまでもありません。
私の可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い(中略)妹である……いけませんね、コンピューターですとコピーペーストという便利な機能があるせいか、どうしてもこのようにクドい表現になってしまいます。それでも私の可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い(中略)妹であるところの祐巳を表現するのに不足はあっても充足することは決してありませんけれども。

そう、私の祐巳についてです。
お姉さまが卒業なさってから、少し寂しく感じながらも私たちは2人の時間を過ごし、愛情を育んできました。
春の昼下がりには2人で日向に寄り添い、夏の夕暮れにはひぐらしの声が並んだ影に染み、秋の放課後は落ち葉を2つの足音が踏みしめ、冬の早朝にはあの子の笑顔で心から暖まり……いえ、もちろんまだ冬は過ごしていませんが。
ともあれ、そのように私は祐巳と時間を共有してきました。
私たちの間にはたとえ同じ薔薇さまの令や志摩子、また祐巳の肉親である祐麒さんでさえ入り込めないほどの、深く静かな愛情があったのです。

何が問題なのか、そうお姉さまは仰るでしょう。
そう、そんな2人のあまりにも強すぎる絆と申しますか、ぶっちゃけ愛情が問題なのです。

あれは……ええ、3日前のことでした。
いつものように祐巳の笑顔を見るために薔薇の館を訪れ、祐巳と一緒の時間を過ごすために私の持てる能力と小笠原の力をフルに利用してほんの数分で仕事を片付け、残りの時間のすべてで祐巳を愛でようと思った時のことです。
可愛い祐巳が私に愛されるのを待っていると思い素早く仕事を終えたつもりでしたが、あの子も連日の不埒な輩から逃れるために……ああ、可愛そうな祐巳、そして憎き盗人ども!
そう、祐巳は相も変わらず毎日のようにその天使の笑顔を拝みたいと分不相応なことを考える愚か者どもに狙われているのです!ええ、祐巳の愛情が私一人に注がれていることを知らぬ、愚かなリリアン生と職員たちに!

いけません、つい興奮してしまいました。
話を戻しますと、そんな毎日の連続に、体力を消耗していたのでしょう。ふ、と見るとあの子は机につっぷしてすやすやと軽い寝息をたてていたのです。
もちろんその寝顔が薔薇の館の住人を魅了してしまったことは、言うまでもありません。
さて、私も祐巳のことを考えて、寂しいですがそっとしておいてあげようと思ったのです。
ところが。
ところが、です、お姉さま!
何と言うことでしょう、私がすっかり祐巳なしでは生きていけないくらいに虜にされているのと同じく、祐巳もまた、私に魂を奪われてしまっていたのです!
私がそっと髪を撫でてあげようとした時、彼女はこう呟いたのです。

「……大好き」と!
大好き、です。大好き、ですよ、お姉さま!
もう……鼻血もんですよ!!

……度々失礼しました。
お姉さま、私の悩みについては、リリアン史上最強と謳われ学史にすら名を残した聡明なお姉さまのことですから、そろそろお察しのことと思います。
そう、私と祐巳の間にある、これほどまでの愛情を、私はどのようにしたらよろしいのでしょうか。
小笠原の力で女性同士の結婚を認める法制定を画策したのですが、何故かお父様とお母様に泣いて止められましたし、では、とお祖父様に私と祐巳だけの無人島を買って頂こうと思ったら、何故か壮大な館を建てて、表札には「小笠原 祐巳」、これはいいのですがその隣にお祖父様の名前が書かれていました。
……もちろん、館は破壊させましたが。
このままこうして祐巳と過ごすことは、2人の愛の深さ故、とても不誠実だと私は思うのです。
祐巳が私を想ってくれる分、私も何かを祐巳に返さなければと思ったからこそ、前述のように小笠原の力を使おうとしたのですが……なぜか祐巳はそういった話をしますと、涙目になって拒否するのです。
その、謙虚で慎ましやかな姿勢に私は益々あの子への愛情を深めていくのですが、そうなるとやはり、私自身がこのままというのに納得できず、という悪循環に陥っています。

お姉さま。
私をまだ可愛い妹と思ってくださっているのであれば、なにとぞご教示のほど、よろしくお願いいたします。













「どう、わかった?」
「う……うん、とりあえず書いてみる」
「ふふ、頑張って」














subject;お元気ですか。
To;yukaihan@foetida.rosa.jp
From;hetare@foetida.rosa.jp

お姉さま、ご健勝でいらっしゃるでしょうか。
ご無沙汰していること、申し訳なく思っています。

今日は是非お姉さまに聞いて頂きたいことがあってご連絡しました。
山百合会は特段不都合なことなく動いています。つぼみたちも、もういつ薔薇さまになってもいいくらいに仕事をこなしますし、新しく入って来た1年生、お姉さまはもう孫のことはお聞き及びかと思いますが、特に紅薔薇のつぼみの妹が私たち以上の働きをするので非常に助かっています。
とは言え、聞いて頂きたいことというのは山百合会のことではありません。
山百合会と無関係でもないのですが……祐巳ちゃんのこと、なんです。

実は3日前、暖かな秋の陽射しに涼やかさが加わって、窓を開け放してもとても気持ちのいい放課後でしたが、そんな陽気のせいでしょうか。祐巳ちゃんがうたた寝をしていたのです。
窓から入る風にツインテールが微かに揺れ、見ているだけの私たちまでも心地よくしてくれる、そう、あれこそ天使と言うのだと思いますが、そんな一服の絵画のような光景でした。
お姉さまたちが在籍していらした頃から変わらず、彼女は毎日のように全校生徒、職員、果ては山寺の生徒たちからの告白攻撃を受けてとても疲れています。
そのことを知っていた私たちは、当然のことながら彼女をそっとしておいてあげよう、と目線で頷きあって諒解を交わしたのです。

ただ、陽射しが暖かいとは言え秋の風は冷えるものですから、私はちょうどたまたま偶然なぜか持っていた、一目一目が職人芸とまで言われたくらいに時間と手間をかけた手編みのカーディガンを、かけてあげようとしたのです。

その時でした。
祐巳ちゃんの、「大好き」という言葉を聞いたのは。

私はきっと、数分くらいは止まっていたかも知れません。
それくらいに衝撃は大きく、そして同時に嬉しさで感極まってしまったのです。
しばらくは呼吸をすることすら忘れる程、感動に浸っていたのですが、はた、と気づきました。
嬉しいのですが、私は祥子を裏切ることになってしまうのではないのか、と。
姉妹の愛情と、その、何と言いますか、こ、ここここ、こい、恋……人の愛情というのが違うということは理解しているつもりです。
祐巳ちゃんを拒絶するなどということは考えたくもありませんし、そんなことはあり得ません。
ですが、ここがお姉さまに「生真面目すぎる」と言われたところなのでしょうか、どうしても気になってしまうのです。

お姉さま、こんな私に是非アドバイスを頂けないでしょうか。
よろしくお願いいたします。














「それで、どうして急にメールなんて?」
「うん。手紙にしようかな、と思ったんだけど『メールでしたらお姉さまといつでも連絡がとれますよ』って言われたから、ちょっと覚えてみようかな〜なんて。えへへ」
「くあ〜〜〜、ちくしょう、可愛いなあ、もう!」















Subject;ご無沙汰しております。
To;ero_oyady@gigantea.rosa.jp
From;black_maria@gigantea.rosa.jp

お久しぶりですお姉さま。
相変わらず女の子を追いかけ回しているというお噂を聞くたび、お変わりないのだなと安心しています。

私はと言えば、乃梨子と落ち着いた日々をゆっくりと静かに過ごしています。
と、ご報告したいのですが、今日は特筆すべきことがありましたのでこうしてメールをお送りしています。

何があったのかと申しますと、驚かないでください……と言っても、私の脳裏には今ディスプレイの前で嫉妬に狂って卒倒しそうなお姉さまが浮かんでいるのですが、実は、遂に祐巳さんと結ばれる日が近づいてきた、ということです。

詳しくお話しすればするほど、お姉さまの狂態が浮かびますので、私もほくそ笑みを浮かべることを抑え切れないのでもちろん敢えて詳しくお話ししますが、あれは3日前のことでした。
いつものように祥子さまが無駄に権力をお使いになられて、することもなく会議室で過ごしていた時です。
連日の、私の祐巳さんを付け狙う薄汚い低俗な輩のせいで疲労が溜まってしまったのでしょう。祐巳さんは窓際の席で眠ってしまいました。
私以外の人に祐巳さんの寝顔を拝ませるのは、祐巳さんの無駄遣いと言いましょうか、それがたとえ山百合会のメンバーであっても勿体なさ過ぎることなんですが、その時の私はまるで私と祐巳さんの未来を祝福してくれているかのような陽気と、眠っている祐巳さんのあまりの愛らしさに寛容な気持ちになっていました。
令さまの目配せが「そっとしておいてあげよう」というものであることはその場にいた全員の気持ちの代弁でしたので、皆はそれに首肯して祐巳さんを鑑賞していたのです。

しばらくは穏やかな時間が満ちました。
けれども、不意に生じた怪異な空気に反応した私が嫌々ながら祐巳さんから視線を外しその原因を目探しますと、なぜか祥子さまが逝ってしまった目をしていました。それ自体はいつものことですし、私も放っておいたのですが、またしばらくすると今度は令さままでが劣情の籠っていそうなカーディガンを抱き締めて固まっています。
まあ、祥子さまと令さま、お二人(とは言いつつ、お二人だけでなくリリアン関係者全員に共通することであるとも、私は理解していますが)の妄想は今に始まったことではありませんので、そちらも放置プレイを決定しました。
ただ、穏やかな陽気とは言っても秋もそろそろ深まろうという頃です。
体が冷えてしまうだろう、と思った私は目覚めた祐巳さんがすぐに暖まれるよう、紅茶をー言うまでもないことですが、山百合会で使われるものとは異なり、私が祐巳さん専用に用意した茶葉・ポット・カップを使用しましたがー用意して、祐巳さんの前に置こうとした、その時です。

ああ、これからのことを報告するに当たり、お姉さまの悔しげな表情が鮮明に浮かび、どうしても高笑いを抑えられません。

祐巳さんは、眠っているにも関わらずカップを置いた私に、「大好き」と。
「大好き」、そう言ったのです。
私はその時ほど、自分の信仰心を自分で誉めてあげたいと思ったことはありません。
あの一瞬のために今日まで生きていた、そして寺の住職の娘でありながらもマリア様を敬仰してきたと言っても過言ではないでしょう。
それほどにあの一言、そしてその時の祐巳さんの表情は蕩けてしまうほどに清純な美しさで満ち、魅惑的であり、私を最大の幸福に至らしめるにあまりあるものだったのです。

お姉さま、申し訳ないのですが私は一足先に大人の階段を登ろうと思います。
とは言え、私も妹として姉の心痛を理解する気持ちを抱えていないわけではありません。ですので、お姉さまには乃梨子でもドリルでも針金でも、お好きなのを誰でも差し上げます。
セッティングもいたしますので、ご遠慮なく申し付けてください。

それでは。










「……ねぇ、聖」
「……わかってる。江利子、あんたもわかってるよね」
「当たり前でしょ。逝くわよ、二人とも」
「字が違ってよ、江利子」
「まあいいじゃないの。とにかく今優先すべきことは……」
「そう、」

「「「あなたち、生かしておかないわよ」」」












Subject;大好き
To;french_doll@chinensiss.rosa.jp
From;kodanuki@glass_camera.mail.com

えへへ、初めてメールしてみたよ。
まだ蔦子さんのコンピューターを借りてるから、夜中にでもいつでも、思ったことを送れるってわけにはいかないんだけど、頑張って覚えてみるね。
えーと、なんか緊張するね。
蔦子さんに「話言葉の方がいい」って言われて書いてるんだけど、ここまででもすごい時間がかっかちゃた。
あれ、なんか変だけど、直せないからごめんね。

あのね、これだけ伝えたかったの。

笙子、大好きだよ。












「メールって、想ったことを想った瞬間に伝えられるのがいいね……って、蔦子さんどうしたのっ?ちょ、ちょっと、大丈夫?」
「……ああもうっ!祐巳さん、可愛すぎるってのっ!!」












「あら、笙子、携帯鳴ってるわよ」
「え?あ、ほんとだ」
「珍しいわね、学校の友達?」
「うん、多分……あまり教えてないけど」
「ま、教えたくてもリリアンって携帯持ってる子、少ないわよね」
「お姉ちゃんの時でもそうだったんだ……と、あれ?」
「誰から?」
「kodanuki……コダヌキ?……もしかして、お姉さまっ?!」
「祐巳さんっ?!ちょっと笙子、見せて、見せてっ!」
「お、お姉ちゃん待ってよ、私が先に……えーと……はふぅ…………はぅ、お姉さまぁ……」
「きゃあっ?!お、お母さん、救急箱持って来て!笙子が鼻血の海にっ!」
by rille | 2007-06-08 00:05 | まりみてSS